今日は情報のH26第16問について解説します。
システム開発プロジェクトにおいて「経営層によるプロジェクト運営への関与が十分でない」ことが原因で失敗するリスクがあるとき、いくつかの対策が考えられる。
対策は回避策と軽減策に分けられ、回避策は、それを十分に行った場合にリスク事象ドライバー※を消滅させる措置である。他方、軽減策は、リスク事象ドライバーを消滅させることはないが、リスク事象の発生確率を減少させる措置である。
経営層からのプロジェクトおよびプロジェクトメンバーへの明確な直接的メッセージあるいは経営者のプロジェクトへの参画があれば回避策になり、そうでなければ軽減策になる。
軽減策にあたるものとして最も適切なものはどれか。
※ドライバー:誘発する要因
ア 関連組織の参画について経営者の指示を文書化する。
イ 経営層への定期的あるいはフェーズごとの報告の必要性について経営層の了解を得る。
ウ 重要なタイミングにおける経営者の参加の重要性を説明し経営層の了承を得る。
エ プロジェクト要件の優先順位に関する経営層の考え方を文書化する。
解説
ITプロジェクトのリスク予防に関する問題です。問題文では「経営層によるプロジェクト運営への関与が十分でないことが原因で失敗するリスク」への対策は「回避策」と「軽減策」に2分され、それぞれ
回避策・・・経営層からの明確な直接的メッセージやプロジェクトの参画
軽減策・・・上記の無いもの
となっています。「軽減策にあたるものとして最も適切なものはどれか」を問われていますので、4つの選択肢から対策効果が最も低いものを選ぶことになります。
それでは早速、各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アの「関連組織への参画指示を文書化する」のは、直接のメッセージを明確にすることになりますので「回避策」に該当します。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イの「経営層への定期的あるいはフェーズごとの報告の必要性の了承を得る」では、「報告の必要性」について了承しているだけで明確な指示やプロジェクトの参画とは異なりますので「軽減策」に該当します。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢ウの「重要なタイミングにおける経営者の参加の重要性を説明し経営層の了承を得る」は、重要なタイミングで経営層がプロジェクトに参画することにつながりますので「回避策」に該当します。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エの「プロジェクト要件の優先順位に関する経営層の考え方を文書化する」は、経営層からの直接的なメッセージを明確化することになりますので「回避策」に該当します。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢イとなります。